瓦の漆喰の役割はあまり知られていませんが、家を長持ちさせるために屋根部分はとても大切です。室内の劣化や修繕箇所は気づきやすいものの、エクステリアとなると知らない間にダメージが進んでいることもありますよね。
そこで今回は瓦の漆喰の役割と、補修する際の大切なポイントについてご解説しましょう。
瓦の漆喰の役割とは何か
日本で昔から使われている瓦屋根。最近は洋風でモダンな家が増えているので、昔ながらの瓦屋根を見ることが減ってきました。
瓦はただ屋根にのせるだけでなく、あらゆる処理がされています。では漆喰を塗るのはなぜか、役割について見ていきましょう。
漆喰とは?
漆喰という言葉は聞いたことがあるけれど、どのような時に使うか詳しく知らない人のために、まずは詳しくご解説します。漆喰は古くから活用されている日本の塗り壁材で、主に石材や瓦の接着のため、または目地の充填を行う際に使用されています。
漆喰は府海苔やわら、石灰石と水を加えた水酸化カルシウム、粘土などを加えて練り上げるもの。つなぎとして混ぜるわらやすさ、のりなど主に繊維質が使用され、屋根以外でも漆喰を使う壁もあるのです。
漆喰の壁は、高い明光性や防火性に優れているのも魅力。最近は漆喰の独特な特性を活かし、飲食店の壁などでも使われることが増えています。
瓦の漆喰の役割について
瓦の漆喰の役割は、コーキング材のようなもの。瓦はタイルのように1枚1枚設置していますので、隙間がどうしてもできてしまいます。
その瓦同士の隙間を埋めるものが漆喰。小動物や雨水の侵入を防ぐ役割があり、瓦の下地になる「葺き土」を守る役目もあるといわれています。
瓦は地震や台風でずれが生じることがありますので、瓦に漆喰を塗るとしっかりと接着して整然とした並びになり、家の美観が維持できるので大切に管理したい部分ですね。
漆喰は劣化する?
瓦の漆喰は家の頭部分を守る大切な存在ですが、残念ながら劣化しないものではありません。長期間天光や紫外線にさらされていると劣化してしまいます。
屋根の定期点検はそのためにも大切なので、瓦屋根もよい状態を保てるように、瓦だけでなく漆喰も点検が大切です。
漆喰が劣化した症状
瓦屋根はとても重厚感があり、家全体がカッコよく見えますが、漆喰が劣化すると屋根にさまざまな影響を及ぼします。たとえば劣化して接着力が低下すると、瓦のずれが発生。
見た目の問題だけでなく、そのまま放置すると瓦同士がぶつかり割れが発生する場合や、隙間から雨水が入り込み雨漏りの原因にもなります。
早く修繕しないと深刻な影響を与えることもあり、さらに瓦のずれを放置すると、地震や台風で瓦が落下するリスクもあるのです。
瓦の漆喰の役割は接着させること。しかし劣化が始まったら、すぐに建物にトラブルが発生するわけでもありません。どのような補修の仕方をするか、症状や原因を突き止めることが大事ですね。
瓦の漆喰を修繕する流れとコストについて
屋根は劣化の症状が目で確認できるまで、何もせずにトラブルを放置してしまう可能性があります。瓦の漆喰は役割を考えて修繕すべきなのか、またコストについても詳しくご解説しましょう。
漆喰の修繕が必要なサイン
瓦の漆喰の修繕は、塗ってある部分がボロボロになり、目で見てわかるような場合もあります。瓦の位置がずれている、漆喰にヒビが入った場合などが修繕のタイミングに。
それ以外にも漆喰は表面的に劣化するだけでなく、見た目に問題がなくても雨漏りを招く可能性があります。天井からの雨漏りは、漆喰の劣化が考えられますので、その場合も修繕部分を確認しましょう。
ただし雨漏りは漆喰以外にもあらゆる要因があり、屋根材の破損や外壁のダメージからくる雨漏りも考えられます。そのため雨漏りしたら、すぐ漆喰の補修をするのではなく、総合的に診断してもらうと安心です。
詰め直し工事
瓦の漆喰の劣化を修繕する方法のひとつが、漆喰詰め直し工事です。内容は劣化した部分の漆喰を剥がして、新しい漆喰を塗ること。
この工事で対処できる症状は漆喰のひび割れ、漆喰の欠けなどがあります。費用は1平方メートルあたり2,200~7,000円。部分的な補修方法なので、工期は約1日と早く仕上がるのが特徴です。
工事の流れはまず劣化した漆喰を剥がし、内部の葺き土をスプレーで湿らせ、新しい漆喰を塗布します。施行範囲や使用する材料、また足場代などがかかり、費用はその現場ごとに変動するのでご注意ください。
取り直し工事
取り外し工事は瓦を外して、内部の葺き土や漆喰を新たに設置してから、瓦を積み直す方法です。この工事で対処できるのは、瓦の歪みや漆喰の崩落など劣化症状がひどい場合。
工期は3~5日ほどかかり、費用相場は1平方メートルあたり8,500~20,000円ほどかかります。
工事の手順は既存の瓦を取り外し、下地部分の木材を新しく交換して漆喰を詰めます。その後で新しい瓦をのせるため、費用は高くなる場合もあるでしょう。
補修する際に知っておきたいこと
瓦の漆喰の補修はいくつかの注意点がありますので、もしかしたらと思ったらまずはプロに診断してもらうことをオススメします。では注意したいポイントについて、詳しくご説明していきましょう。
DIYはやらない
瓦の漆喰は、経験のある職人でないと綺麗に仕上がらないため、費用が高くなる傾向があります。少しくらいの部分なら、DIYで修理してみようと考える人もいるはず。
しかし屋根に関する作業は危険で、落下する可能性についても考慮してください。また専門的な知識がないと難しい修理で、補修する際には専門工具が必要になります。
道具を揃えるだけでも大変ですし、作業の安全性は何よりも優先して考えたいポイント。またなんとなく修繕しても、素人には原因を的確に判断できないとも考えられます。間違った修繕方法や修繕箇所は、後でさらに費用がかかる原因になるでしょう。
保険が使える場合も
瓦の漆喰修繕は、足場を組むだけでも高額になりますので、すぐにやりたくても予算がなくて計画できない場合もあるでしょう。そんな人には保険が使える場合もあるので、早速確認してみてください。
火災保険の「風災保障」に入っていると、強い風による被害は修理費用を保険会社が支払ってくれる可能性があります。漆喰の剥がれなどは経年劣化だけでなく、天候による影響も考えられるため、まずは保険の補償内容をチェックしてみましょう。
業者選びに注意しよう
漆喰補修は、信頼できる業者に依頼することをオススメします。悪徳な業者はとても安価な見積もりを提供してきますが、工事がきちんとされずすぐに雨漏りするケースもあるでしょう。
補修業者を選ぶ際は、実績があるかどうかチェックしなければなりません。専門的なスキルが必要なので、漆喰の補修ができる業者に依頼してください。
また屋根工事は下から見ても、具体的な作業内容はわかりませんよね。各工程の写真を見せてくれるなど、安心してお願いできる業者であることも大切です。
修繕を依頼する業者には、将来的にもメンテナンスもお願いしましょう。修繕は10年に1回が目安といわれていますが、コストを抑えて修理するためにも定期的な診断は欠かせません。
まとめ
瓦の漆喰の役割はとても大切なので、瓦だけでなくきちんと役割を果たせるように、点検は必ず行ってください。またお住まいの地域の天候により屋根の劣化スピードが違ったり、適した屋根材なども変わってきたりしますので、地元の信頼できるリフォーム業者にアドバイスしてもらうのもオススメです。