築年数が経過すると、エクステリアのお手入れもあちこち必要になります。外壁のサイディングカバー工法は近年とても注目されていますが、メリットやデメリットについて事前に知っておきたいポイントがあります。
外壁のリフォームは費用が高くなる傾向にあるので、失敗しないためにもあらゆる手段を検討してみるのも必要です。では今回は、外壁のサイディングカバー工法の特徴や注意点について、詳しくご解説していきましょう。
外壁のリフォームの種類について
外壁のお手入れといえば塗装が主流ですが、外壁の耐用年数や美観なども考えると、他の工法も特徴を理解して選択肢に入れておきたいですね。では外壁リフォームの種類について、主な方法をご紹介しましょう。
外壁塗装
建物の外壁の状態がまだ健全、または部分的に補修が可能な場合は、外壁塗装を行います。塗装は色を変えるだけでなく、ひび割れを修理して防水性を高めるのも目的のひとつ。
外壁塗装は塗料の種類により耐用年数が異なり、一般的なシリコン塗料なら10年前後が目安といわれています。外壁塗装は他の工法よりもコストが安く、工期が短いのも魅力です。
外壁の張替え
補修できないほど劣化している外壁の場合は、内側の防水紙なども交換できる外壁の張替え工法がオススメです。このリフォームは今までの外壁を撤去して、新しい外壁に張り替えること。
建物の構造にもよりますが、外壁材を選択できるので住宅の大きなイメージチェンジをするのも可能です。内部の材質を交換できるため、外側からの雨漏りを止めることもできます。しかし施工費用が高くなり、モルタル外壁には施行できない場合もあるでしょう。
外壁カバー工法
外壁のリフォームは、強度を高めるためにも重要です。外壁カバー工法は、既存の外壁に新しい外壁を重ねて張る工法。撤去費用や廃材処理のコストが節約できるので、張り替えるよりもコストが安くなります。
外壁サイディングのカバー工法について
外壁サイディングのカバー工法の特徴やコストについて、詳しくご説明していきましょう。サイディングとは何か、詳しく知らない人も多いはずなので、リフォームする際の参考にしてください。
サイディングとは?
サイディングというのは、外壁素材の種類のひとつ。セメントと繊維質がメインの原料で、外装材で張りつけていきます。サイディングボードとも呼ばれ、形は板状で建物の骨格に合わせて張り、シーリング材でつなぎます。
シーリング材は、雨水が内部に侵入しないよう予防してくれます。昔の家はモルタルが外壁の主流でしたが、施行時間がかかることや費用が高い点がデメリット。
またひびが入りやすいこともあり、サイディングを使うケースが現在は増えています。サイディングの耐用年数は7~8年。シーリングが劣化した時期や、サイディングボードの反りなどが表れてきたら修繕が必要です。
コストについて
外壁のサイディングカバー工法は、材質の違いによりコストが変わります。単価が安いものは、窯業系サイディングで1平方メートルあたり3500円~5000円。
樹脂系サイディングは7000円~9000円、木質系サイディングは6000円~8000円、金属系は4000円~6000円が相場です。メンテナンス時期は樹脂系なら長くて20年、木質系だと10年が目安といわれています。リフォームコストは材料以外に人件費、工賃なども考えておきましょう。
一般的な施工の流れについて
外壁のサイディングカバー工法はどのように行われるか、一般的な施工手順についてご説明します。まずは作業用足場を家周辺に組み、下地補修を行います。
カバー工法は外壁の状態を確認したうえで、ひび割れなどを埋めておかないと外壁材がのちに損傷する可能性があります。次は胴縁と呼ばれる、サイディングカバーのための下地工事です。
ここできちんと下準備をしないと、仕上がりにずれやぐらつきが生じる場合もあります。続いてサイディングを外壁に重ね張りし、結合部分にシーリング材を埋め、施工前に取り外した雨どいやエアコンカバーなどの復旧、そして最後に足場解体と清掃で工事が完了です。
外壁サイディングカバー工法のメリットについて
外壁のリフォームはあらゆる点を考慮して、建物に一番合う方法を選ぶ必要があります。では人気のある、外壁サイディングカバー工法の魅力についてご説明しましょう。
あらゆる外壁に対応できる
外壁のリフォームは、壁の材質によっては適さない方法もあります。たとえばモルタルの壁は外壁の張替えができないなど、事前に適用される工法を理解しておかなければなりません。
外壁サイディングカバー工法は、既存の壁にサイディングを張る方法でモルタル、窯業系、金属サイディングなど、あらゆる壁に対応できるのが魅力です。
工期が短い
外壁のリフォームはご近所の迷惑になることもあり、できるだけ早く工事を終了させたいと思う人もいるでしょう。外壁サイディングのカバー工法なら、既存の壁を取り外す手間がなく、上に新しく張る工法なので工事期間が短くなります。
基本的には、大部分を残したまま新しいサイディングを張っていきますので、張替えするよりも早く完成する点がメリットです。
コストが安い
外壁の張替えは、撤去や解体にかかる費用がありますので、コストが高くなります。その点カバー工法は取り除くための費用が不要なので、コストを抑えたリフォームを考えている人にオススメ。
たとえば30坪の家の場合、木質系サイディングなら工事総額は150万円~200万円、金属系は120万円~200万円が相場です。
防音性と断熱性が高まる
カバー工法とは既存のものの上に、さらに壁を張りつけること。壁と壁の間に空気の層が作られ、夏は涼しく冬は室温が温かくなる効果が見込めます。
長い目で考えると、光熱費の節約にもなるでしょう。さらに外壁が二重になると遮音性が高くなりますので、車の騒音が気になる地域ならより静かで快適な生活が期待できますね。
塗装よりも耐用年数が長くなる
外壁サイディングカバー工法は、張替えと同じくらいの長い耐用年数が期待できます。塗装だと劣化しやすいので、築年数が古い住宅ならきちんと外側から家を守るのも大切です。
注意点について
外壁サイディングのカバー工法を計画する際に、なるべく注意したいポイントについてご説明していきましょう。
重量が増える
外壁材がプラスされると、必然的に建物全体の重量が増えます。重量がある建物ほど地震で揺れやすい傾向があるので、外壁材の重さを考慮してリフォームするのが必要です。
軽量なのは樹脂系や金属系のサイディング。重ね張りにするか張り替えるか、リフォーム業者とよく相談しながら計画してくださいね。
内部結露のリスクがある
壁の内部に結露が発生するデメリットがあります。外壁サイディングカバー工法は、既存の外壁との間に温度差が生じるため、空気中の水分が結露になり壁の内部で発生。
この問題を解決するには、空気の通り道を作っておく必要があります。施工の際に、胴縁という部材を配置するのはこのため。カバー工法をする際は、このようなデメリットを理解して施行してくれる信頼できる業者がオススメです。
まとめ
外壁サイディングのカバー工法はホワイト、グレー、ベージュなど色が豊富に選べるのも魅力です。洋服を着替えるように、大切なマイホームをイメージチェンジしたい場合にも、リフォームはよい方法になるでしょう。
外壁はよく見ないと、劣化状態が判断できないケースも多いため、大きな修繕が必要になる前に住宅の定期的なチェックも検討してくださいね。